〈徴しの上を鳥が飛ぶII(2020)〉 開催概要
ごあいさつ
コロナ時代のアート人材育成のために
本年度も「徴しの上を鳥が飛ぶ−文学研究科におけるアート・プラクシス人材育成プログラム」を実施することができ、嬉しく思います。今年はその2年目、昨年より一層充実した取組にして行きたいと思います。
この現代という時代の、様々な徴しに取り巻かれている私たちの生を、ほかならぬアートを通していくらかでも解き放つことができればと考え、このプログラムを始めたわけですが、昨年度の終わりには予想外の新型コロナウイルス感染拡大が始まりました。最初に感染爆発をしたのはイタリアで、3月9日には全国規模の都市閉鎖が行われました。続いてスペイン、フランス、そしてベルギーと次々に全国規模の封鎖措置が取られました。日本も3月には感染が拡大し、年度を跨いで4月7日に緊急事態宣言が出されました。その後のことはここで記すまでもないでしょう。言いうることは、私たちの社会生活が一変してしまったということです。6月にはようやく自粛緩和が始まりますが、元の生活が戻ってくることはしばらくはないでしょう。
このプログラムも例年でしたら5月の連休明けには受講生募集を開始するところですが、今年については全く先行きの見通しが立たず、取りかかることができませんでした。ひと月遅れでようやくスタートとなり、ひとまずは安堵しているところですが、今後のことを考えると明るい見通しばかりではありません。
しかし世界はいつの時にも、様々な危機、臨界点、瀬戸際、まったなしの状況の繰り返しでした。戦争、革命、経済不況、移住と民族問題、冷戦、核実験、原発事故、大災害と私たちの暮らしを根本から変える大きな出来事がくりかえされてきました。そのような時でも、しかしアートや芸術は決してなくなることはなく、その時代の危機と場合によっては共生し、場合によっては批評しながら、様々に形を変えてこれらの危機を乗り越えてきました。今、私たちが信じることができるとすれば、このようなアートの変幻自在な力だろうと思います。
今年度はこの感染症拡大という事態を乗り越えなければなりません。グローバルに人々やマネーが世界中を闊歩していた時代は休止、今はウイルスだけがそれに取って代わろうとしています。この「徴し」の上を、アートを通じて飛び越えて行くことは、どのようにしたらできるのでしょうか。このような時代だからこそ、人文学的なアプローチを土台にして、アートの潜在力を確認し、アートを自分たちの飛ぶ鳥として行ければと思っています。
文学研究科 永田靖
開催概要
本プログラムでは、演劇、音楽、美術など多岐にわたる芸術や文化の諸理論、また諸相に具体的に触れることで、アートを展開する場や共同体の特性に応じて臨機応変に対応する実践的な「アート・プラクシス」能力を養います。今日のアート・マネジメント人材に求められる、様々な課題への注意深いまなざし、その課題に向けたアートによる探求の試みを実践していける人を育成します。
1年を3つの期間に分けてプログラムを実施します
[第1期]セミナーとレクチャー:アート・マネジメントや文化政策について学ぶ基礎レクチャーの期間
[第2期]インターウィーヴ:アーティストとの対話などを通じてアートの事前・事後双方の扱いを含めて学習する期間
[第3期]作品制作:プログラムで学んだことを具体化しつつ作品制作と公開を進める期間
本プログラムは、大阪大学大学院文学研究科が主催し、大阪大学総合学術博物館との共催により、開講いたします。また本プログラムは令和2年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」による助成を受けております。本プログラムは、近隣のあいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール、大阪中之島美術館準備室、淨るりシアター、吹田市文化会館 メイシアター、豊中市都市活力部文化芸術課、兵庫県立尼崎青少年創造劇場 ピッコロシアター、公益財団法人 箕面市メイプル文化財団などの芸術諸機関の協力を得て行います。
事業実施体制
主 催 | 大阪大学大学院文学研究科 |
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共 催 | 大阪大学総合学術博物館 |
連 携 | あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール 大阪新美術館建設準備室 淨るりシアター 公益財団法人吹田市文化振興事業団(メイシアター) 豊中市都市活力部文化芸術課 兵庫県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター) 公益財団法人 箕面市メイプル文化財団 |
助 成 | 令和2年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」 |
連携機関アドバイザー
尾西 教彰 | 兵庫県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター) |
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菅谷 富夫 | 大阪中之島美術館準備室/大阪中之島美術館館 |
古矢 直樹 | 吹田市文化振興事業団(メイシアター) |
松田 正弘 | 淨るりシアター |
宮地 泰史 | あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール |
西岡 良和 | 豊中市都市活力部文化芸術課振興係 |
和田 大資 | 公益財団法人 箕面市メイプル文化財団 |
事業担当者
永田 靖 | 大阪大学大学院文学研究科・大阪大学総合学術博物館(事業推進者) |
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伊東 信宏 | 大阪大学大学院文学研究科(事業推進者) |
渡辺 浩司 | 大阪大学大学院文学研究科(事務局) |
橋爪 節也 | 大阪大学総合学術博物館 |
岡田 裕成 | 大阪大学文学研究科 |
高安 啓介 | 大阪大学文学研究科 |
古後奈緒子 | 大阪大学大学院文学研究科 |
伊藤 謙 | 大阪大学総合学術博物館 |
横田 洋 | 大阪大学総合学術博物館 |
山﨑 達哉 | 大阪大学大学院文学研究科(事務局) |
濱村 和恵 | デザイン |