〈徴しの上を鳥が飛ぶI(2019)〉 開催概要
ごあいさつ
アートには無限の力があります。勇気づけたり、優しい気持ちにしてくれたり、また希望を与えてもくれるでしょう。そんなアートは、現代のグローバル化する日本や世界を生きていく中では、ますます大切で有意義な営みとなっています。それは政治や経済、また産業や情報通信などにはできない力があるからです。しかしアートは逆に不安を掻き立てたりもすれば、なにか支配的な力となって私たちに圧力をかけてくることもあります。そこではアートはすがすがしく、華やかなものというより、何か陰鬱で目を背けたくなるような闇の隙間を見せてくれるものでもあります。アートはこのような両義的な力をもって私たちの身の回りに偏在しています。私たちは自律した意識を持ってアートと向き合い、人間や世界の本当の豊かさについて知っていくことが求められているのだと思います。
今日、私たちが暮らす社会はもちろんのこと、私たち自身も、仕事、人間関係、政治、人種、国籍など、あるいは家族の過去、個人的な習慣、母語など、様々な「徴し」に取り付かれています。このような「徴し」なしには私たちは自分を見失い、居場所をなくしてしまいますが、この「徴し」は同時に私たちを縛るものでもあるでしょう。〈徴しの上を鳥が飛ぶ〉というこのプログラムのタイトルは、この世界の、この私たちに取り付いている様々な「徴し」から自らを解放することはできるのか、できるとすればどのようにか、その時世界はどのような姿を見せるのかという問いかけでもあります。このプログラムではアートの力を信じ、アートの力を通して、作る人も見る人も世界の多様性を理解し、そこに生じる軋轢や対立を乗り越えて、私たちのいわば「徴しなき徴し」を見出していくプロセスを探して行ければと思っています。
このプログラムは3年間のプログラムとして考えています。今年はその第1年目にあたりますが、まずいろいろなアートに触れることで、現代社会とアートの関係、現代社会をアートを通して考え直していく、そんなきっかけになればと考えています。
文学研究科 永田靖
開催概要
本プログラムでは、演劇、音楽、美術など多岐にわたる芸術や文化の諸理論、また諸相に具体的に触れることで、アートを展開する場や共同体の特性に応じて臨機応変に対応する実践的な「アート・プラクシス」能力を養います。今日のアート・マネジメント人材に求められる、様々な課題への注意深いまなざし、その課題に向けたアートによる探求の試みを実践していける人を育成します。
1年を3つの期間に分けてプログラムを実施します
[第1期]セミナーとレクチャー:アート・マネジメントや文化政策について学ぶ基礎レクチャーの期間
[第2期]インターウィーヴ:アーティストとの対話などを通じてアートの事前・事後双方の扱いを含めて学習する期間
[第3期]滞在制作(アーティスト・イン・レジデンス):外国人アーティストの招へいと滞在制作(アーティスト・イン・レジデンス)を通じて実際的に研修する期間
本プログラムでは、大阪大学大学院文学研究科が主催し、大阪大学社学共創本部、大阪大学総合学術博物館との共催により、開講いたします。また本プログラムは2019年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」による助成を受けております。本プログラムは、近隣の兵庫県立尼崎青少年創造劇場 ピッコロシアター、淨るりシアター、吹田市文化会館 メイシアター、あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール、大阪中之島美術館準備室、豊中市都市活力部文化芸術課などの芸術諸機関の協力を得て行います。
事業実施体制
主 催 | 大阪大学大学院文学研究科 |
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共 催 | 大阪大学社学共創本部 大阪大学総合学術博物館 |
連 携 | あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール 大阪中之島美術館準備室 公益財団法人吹田市文化振興事業団(メイシアター) 豊中市都市活力部文化芸術課 淨るりシアター 兵庫県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター) |
助 成 | 2019年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」 |
協 力 | 大阪大学21世紀懐徳堂 |
事業担当者
永田 靖 | 大阪大学大学院文学研究科・大阪大学総合学術博物館(事業推進者) |
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伊東 信宏 | 大阪大学大学院文学研究科(事業推進者) |
渡辺 浩司 | 大阪大学大学院文学研究科 |
橋爪 節也 | 大阪大学総合学術博物館 |
岡田 裕成 | 大阪大学文学研究科教授 |
高安 啓介 | 大阪大学文学研究科准教授 |
古後奈緒子 | 大阪大学大学院文学研究科 |
伊藤 謙 | 大阪大学総合学術博物館 |
横田 洋 | 大阪大学総合学術博物館・大阪大学大学院文学研究科 |
山﨑 達哉 | 大阪大学大学院文学研究科・事務局 |
濱村 和恵 | デザイン |